2020年における最も大きな話題といわれている“次世代インターネット”について簡単に説明します。キーワードは以下の三つです。
- Web 3.0
- IPFS(InterPlanetary File System)
- Filecoin
「Web 3.0」
では、一つ目のWeb3.0(ウェブサンテンゼロ)から簡単に見ていきましょう。
Web3.0は、主にブロックチェーン技術(分散型の技術)によって実現されようとしている新しいWebの世界です。インターネットのあり方がさらに進化するというお話です。アメリカの著名な投資家であるマイケル・ノヴォグラッツ氏も「世界を変えるのはビットコインではなく、Web3.0」と2019年発言しています。
Webの進化の歴史をざっと振り返ると、以下のようにまとめることができます。
Web1.0 | 1995年~2005年(Webページ時代) |
Web2.0 | 2000年~2018年(SNS時代) |
Web3.0 | 2010年~(ブロックチェーン時代) |
Web1.0時代はWebがまだ一方通行だった時代ですね。チャットツールなどもありましたが、多くはWebページを閲覧するだけの一方的な情報の発信・受信でした。もはやインフラになっているYahoo!・MSN・Googleなどが登場しました。主なサービスとしては、個人Webサイト・チャットルーム・MSNメッセンジャーなどがありました。懐かしく思われる方も多いのではないでしょうか。キーワードは「接続」ですね。
次のWeb2.0時代ではインターネットへ常時接続することが一般的となりました。インターネットの接続速度も高速化し、コンテンツの配信もできるようになっていきます。Webで双方向に情報がやり取りできるようになった時代であり、インターネットの使い方として頭に浮かぶものですね。現在の主流といっていいと思います。おなじみの、YouTube・Twitter・Facebook・InstagramなどはWeb2.0時代を代表するサービスです。キーワードは「共有」ですね。

いまもなお続くWeb2.0時代ですが、「特定企業に個人情報が集中するプライバシー問題」「中央集権型によるセキュリティ問題」の2点が大きな問題として認識されはじめています。それを、新しいテクノロジーによって乗り越えようとするのがWeb3.0です。キーワードは「分散」ですね。
少し難しい説明となりますが、ブロックチェーン技術(分散型の技術)によって、非中央集権型となり、個人情報は特定の企業ではなくブロックチェーンに参加したユーザーによって分散管理されます。また、サービスを提供する基盤は特定企業に限定されず、ユーザーそれぞれが参加するネットワークがサービスを提供する基盤となっていきます。個人情報が分散管理され非中央集権型となることで、不正アクセスや情報漏えい、データ改ざんのリスクが軽減するということですね。
たとえば、北朝鮮や中国のネット上の情報統制や、GoogleやAmazonに個人情報(居住地・家族構成・嗜好・買い物など)のほとんどを握られているという状況を打破しようという潮流ですね。より高速でより安全な形としてのインターネットをイメージしていただければよいかと思います。
Web2.0からWeb3.0に変わることで、私たちが普段使っている主要なアプリが変わることが予想されています。Web3.0の特徴とThe Internet of Blockchains Foundationの会長マッテオ・ジャンピエトロ・ザーゴ氏が公開した画像を載せておきます(出典:Medium)。2020年のスタンダードが10年前・20年前のスタンダードと違っているように、この先5年くらいでどんどん変わっていくということですね。ひょっとすると、その頃には<Googleで検索をしていない>という今からは考えられない未来になっているかもしれません。

以下の企業はWeb3.0の準備を既に完了させていると言われています。みなさんご存じの名だたる大企業がことごとくWeb3.0時代に突入しているのが確認できると思います。私たちの知らないところで世界は動き始めているんですね。

「IPFS」
そんなWeb3.0を実現させるための中核技術・プロジェクトがIPFS(InterPlanetary File System)です。一言で表現すると、人間の文化を守るための次世代のインターネットの構想です。みなさんもWebサイトのアドレスでおなじみのHTTP。このHTTPの弱点を補完・置換する新しいプロトコル(通信に関する規約)として全世界から注目を集めています。

これまでのHTTPの世界では、http://○○○○○.htmlというようにURL(データの置き場所)を指定することでアクセスします。このやり方だとサーバー管理者に多大な責任が生じるんですね。ちょっと想像しにくいことかもしれませんが、たとえば国家を含む何かしらの圧力がサーバー管理者にかかった時に、そのサーバー内容情報の確からしさの担保の保障ができなくなってしまいます。GoogleやWikipediaにアクセスできない国があるのを知っている方も多いのではないでしょうか。
サーバー管理者がインフラを整えて、削除・改ざん・検閲されないように情報を管理する必要がでてきます。これらの問題を解決しようとするのがIPFSなのです。
HTTP | IPFS | |
語源 | Hyper Text Transfer Protocol | InterPlanetary File System |
発想年 | 1989年 | 2014年 |
創始者 | Timothy “Tim” John Berners-Lee | Juan Benet |
機能 | Web上のファイルを送受信するために 必要なプロトコル | P2Pハイパーメディアプロトコル 世界中のストレージ容量を同じシステムに 接続する分散(脱中央)ファイルシステム |
サーバー | 中央サーバー | 分散サーバー |
伝送速度 | Backboneネットワークに大きく依存 接続者数を超えたらネットワーク遮断 | アップロード・ダウンロード速度が速い |
セキュリティ | コピー・偽造・改ざん・ハッキング可能 データ復旧が困難 | コピー・偽造・改ざん・ハッキング不可能 DDoS攻撃に対して安全 |
費用 | 帯域幅を増やすにはコスト大 | 比較的安価 |
保存機能 | 永続的に保存することはできない | 大きなデータも永続的に可能 |
支払い | USD | Filecoin |
こちらでも少し難しい説明をしておきましょう。IPFSでコンテンツを参照する場合は、データの置き場所を指定するのではなく、「参照するもの」自体のハッシュ値を直接指定します。分散されていることによって、サーバーダウン等に関係なく参照できるようになります。
- サーバー障害の影響を受けない(耐障害性)
- 負荷の集中にも耐えられる(負荷分散)
- 特定権力の検閲を受けない(耐閲覧性)
- データを改ざんされない(耐改ざん性)
ポイントはこの四つです。IPFSによって、半永久的に人類みんなの手で、平等に情報・コンテンツを共有・保存できるってことですね。
「Filecoin」
では、このような次世代システムがなぜ成立するのか? その答えがFilecoin(ファイルコイン)にあります。
ここまで読んでくださったら何となくお分かりになると思いますが、世界中のコンピュータで分散してコンテンツを保持していくことでIPFSが成立するんですね。そしてこの分散管理に協力する人に支払われるのがFilecoinになります。
IPFSを仕掛けているのはProtocol Labs社という2014年に創業されたアメリカのテックカンパニーです。CEOのJuan Benet(ホアン・ベネット)はスタンフォード大学のコンピューターサイエンス修士であり、米経済誌「Fortune」のビジネス業界で最も影響力をもつ若き才能の40人に選出されており、ヴィタリック・ブテリン、マーク・ザッカーバーグなどと肩を並べて注目されています。これからのビジネス、ネット業界における最重要人物の一人ということですね。

ここからは、そのFilecoinが注目される四つのポイントを見ていきましょう。
Point 1:大手企業が参入して大成功を収めたICO
2017年8月にICOを実施した最初の1時間で1億8,600万ドルの資金調達をしただけでなく、合計2億5,700万ドル(約282億円)もの資金を調達しています。
なぜ私たちにこのファイルコインのICOの話が来なかったのでしょうか。それは、参加のハードルがとても高かった(先見性をもつアメリカの富裕層を優先させた)からなんです。ICOに参加できるのは、総資産額100万ドル(約1億2,000万円)以上の投資家、年間で20万ドル(約2,200万円)以上の利益を出している投資家のみに限定され、著名なベンチャーキャピタルや機関投資家2,100名のみだったんですね。
ちなみに、たとえば以下のような機関が出資しています。スタンフォード大学やスカイプ、セコイヤキャピタル、Yコンビネータ、アンドリーセン・ホロウィッツ、コインベースなどの有名どころが登場していますね。それだけIPFSとFilecoinが注目・期待されているということです。「本物だから集まった潤沢な資金調達」と言えるでしょう。2020年の時点ですでにProtocol Labs社の時価総額は700億円を超えています。

Point 2:世界の大手取引所に多数上場
Filecoinはアメリカ証券取引所(SEC)が唯一認可を与えた初めてのアメリカ生まれのコインとなっています。2020年10月15日のメインネットローンチの際に世界最大の取引所であるbinance(バイナンス)への上場も発表され、世界中の取引所に認められています。たとえば以下の取引所ですでに扱われています。おそらくこれからもどんどん増えていくものと思われます。

Point 3:上場前に先物取引ができ値段がついていた
2018年から大手取引所のGate.io、LBank等でFilecoinの先物であるIOUが取り引きされており、だいたい2,000~3,000円の推移で、月間取引量が1000億円を超える先物となっていました。そのようなコインはそれまで一つもありませんでしたので、それだけ業界の中でも注目され続けていることは間違いありません。
Point 4:将来性がある
- データ分散サーバー市場がFilecoinの市場であり、その市場は拡大していく
- IPFSが全世界の分散インターネット環境の母体となる
- データが存在する限り使用される
- Bitcoinの価値を追い越すと予測されている
これからの5G・IOTなどでデータ使用量がどんどん増えることを考えると、こちらも当たり前と言っていいでしょう。IPFSが進めば進むほど、Filecoinの需要が高まっていきます。とくに将来性の面においては、もはや他の暗号資産と比べるレベルにないですね。次元が違います。
Filecoinマイニングのメカニズム
IPFSの運営・維持に協力した対価としてFilecoinが支払われます。もう少し詳しく説明してみましょう(少々難しいです。この部分は読み飛ばしてもらっても構いません)。
そもそもマイニングと称していいのか? といった声があるくらい、Bitcoinに代表されるハッシュ集約型のPoW(Proof-of-Work)とFilecoinのマイニングは大きく異なります。Filecoinでは、メインネットへのストレージの提供(Proof-of-Spacetime)と検索機能の提供(Proof-of-Replication)にもとづいて報酬=Filecoinを得られる仕組みを採用しています。
Proof-of-Spacetimeとはストレージマイニングとも呼ばれており、自分のもつ空き容量を、IPFSのプラットフォームに提供することで受け取れることを指しています。ちなみに、一定期間空き容量がオンラインに存在する宣誓が守られない・データが紛失する・オフラインでアクセスできなくなるなどした場合は担保の一部が没収されてしまいます。
Proof-of-Replicationとはリトリーブマイニングとも呼ばれており、暗号化・分割されたデータの破片をユーザーの代わりに集めて提供することで受け取れることを指しています。
1日あたりのマイニング量の推移(イメージ)とFilecoinブランディング
Protocol Labs社によるもろもろの変更を受けて、1日あたりのファイルコインマイニングの量がどのように推移していくのかをイメージ図にしてみました(マイナーによって異なります)。

要点は、これから半年ほどをかけてマイニング量はどんどん増加するということです。言い換えると、序盤の報酬はかなり少なめに抑えられているということです。以下の要素を反映するとだいたいこのような勢いで増えていくことが予想されます。
- 3ヵ月後・・・マイニング報酬から充てる担保金が十分になり、マイニング効率が2倍になる。(2021年2月頃)
- 4ヵ月後・・・ストレージパワー(Network Storage Power)が2,500PiBに達すると、マイニング量が3倍になる。(2021年3月頃)
- 6ヵ月後・・・リトリーブマイニングの効率がMAXになり、マイニング量が約10倍に近づいていく。(これらはもう少し時間がかかりそうで、グラフの頂点も右にずれる見込みです)
- Network Storage Powerはfilfox.infoで簡単に確認することができます。ちなみに11月16現在では945PiBです。
ストレージパワーについて、2,500PiBから次のポイントは4,500PiBあたりだと言われています。
また、スペースレースで上位に入っているような技術力・営業力のあるマイナーは、企業データをIPFSに引っ張ってくることが可能となります。IPFSの入口を担うことによりマイニング報酬が10倍になると言われています。これらを踏まえた実際のマイニング量について、6~8ヵ月後には当初枚数の100~600倍になると予想されています。マイニング会社により違いはあるものの(11月上旬で1Tあたり0.02/日前後の採掘量)、半年経った頃には最低でも2枚/日ぐらいは掘れることになります。この最低枚数で仮に1FIL=3,000円と据え置き価格で考えても、6,000円/日が入り続けることになります。
また、FilecoinのブランディングをProtocol Labs社が積極的に行っており、市場価格を調整しています。どういったことかというと、マーケットへ介入する(Filecoinを市場に流す)ことによって、適正価格を維持させようとしています。メインネットの開通直後は7,000~20,000円/FILぐらいの値を付けていたのですが、IPFSの事業規模・認知度に見合った価格で推移させるように働きかけているということです。逆に言うと、IPFSが一般的なサービスとして定着した時のFilecoinの価値は計り知れません。さらに、流通するコインの枚数を増やすことで、ちょっとした取り引きでの乱高下も防いでいます。つまり、いまの価格は、Protocol Labs社による働きかけによって、かなり低く押さえつけられて推移しているんですね。
ファイルコインの成長について
ファイルコイン メインネット容量 | 1EiB | 2.5EiB | 5EiB | 55EiB | 400EiB |
ファイルコイン循環量 | 7,000万枚 | 3億枚 | 6億枚 | ||
ファイルコイン時価総額 | 105億ドル | 4,500億ドル | 6兆ドル | ||
ビットコイン時価総額 | 1兆ドル | 10兆ドル | 20兆ドル | ||
暗号通貨全体の時価総額 | 1.6兆ドル | 16兆ドル | 30兆ドル | ||
ファイルコイン価格 | 22ドル | 50ドル | 150ドル | 1,500ドル | 10,500ドル |
去年から比べると2021年5月でメインネットの容量が5倍になっています。時価総額はビットコインの10分の1ですね。2023年末には55EiBに到達して、ファイルコインの循環量が3億枚になっていたら、時価総額は4,5000億ドル、暗号資産業界全体も10倍に成長し、FIL価格も10倍に。最初の半減期を迎える2026年末に400EiBまで到達していれば、循環量は6億枚となり、業界全体も30兆ドルまで成長していれば、FIL価格が10,500ドルになる可能性があると言われています。ポテンシャルがスゴイですね。
グレイスケール(米国最大級の暗号資産の投資会社)が新たに設定する投資信託の一つにファイルコインを選定し、本格的な投資を開始したと2021年3月17日に発表があり、また、ガス代の削減に成功したアップデートやファイルコインのNFTネットワーク化の可能性についてコア開発者が発言したことが話題になりました。ちなみに、グレイスケールのファイルコイン信託は4/1までに45,500のFILトークンに投資してきており、4/1に29,550FILを買い増している模様です。

それらの影響もあり、2021年3月中旬に9,000円、下旬で16,000円を超えてきています(トートとしても想定以上の値上がりでした)。投資家としてはあまり急激に上がって欲しくないのですが、年内2万円は完全に射程圏内ですね(と書いていたのですが、4月1日に20,000円を超えました)。先日参加した座談会では2023年には5万円に手が届いているのではないかという見解が示されていました。これから更に上がっていくのでまだまだ参入は遅くありません。そのうち一般人が手を出せなく価格になる見込みです。

Fil価格の上昇&機器の高騰にともない、各マイナーから提供されているプランの売り切れが目立ちはじめています。マイニング価格が大幅に上がった大手マイナーさんでも毎日即ソールドアウトしています。想定以上のスピードで価格上昇していますので、購入のタイミングうんぬんより早く持ってしまった方がよさそうです。今日より明日、明日よりあさってと上がっていく可能性大ですから。

超大手のRRMineの在庫状況をみてみました。3/31のお昼は1Tのみ完売状態だったのですが、すでに大口の方しか購入できなくなってしまっています。毎日もしくは数日に1回、少しだけ在庫が解放される(FILやマシン≓GPU原価がどんどん値上がりしているので、それにあわせて購入価格も上昇させないとマイナーとしても損失になってしまいます。そういう事情ですべての在庫は一気に解放されません)のですが、即完売が続いている模様です。1Tあたり20万円ほどしてしまいますが、在庫が解放されたタイミングに運良くアクセスできたら購入されることをオススメします。最強レベルに安定したマイナーさんなので安心してマイニングできます。

ゴールドマン・サックスが富裕層顧客に暗号資産投資サービスを開始するというニュースが4月1日にありました。ファイルコインに目を付けているのは確実かと思います。業界全体がこれから更に盛り上がっていくはずです。
[追記]
2021年4月15日にRRMineさんが販売を再開されるということでサイトをのぞいてみました。いや~値段もガクッとさらに上がっちゃいましたね(^_^; でも、この価格で販売するということは、この購入価格以上の価値がでてくるとRRMineさんが確信されているからなんですよね。ですので、これまでと比べると高額ですが、買っちゃってもいいと思います。
おそらく1Tの価格は一桁間違っていてゼロが多いと思います。32万円でしょうね。あと1時間後、4/15 18:00販売開始です。はたして今回はどれくらいで売り切れるでしょうか。

「Filecoin」をどのように手に入れるか
2020年10月15日に実際の取り引きが開始されましたので、市場で購入することもできますが、ストレージを購入(レンタル)することによってIPFSに貢献しながらFilecoinを得ることができます(俗にいうマイニングですね)。それによってFIL(Filecoinの単位)を受け取っていきます。
先ほど“分散管理に協力する人に支払われるのがFilecoin”と書いたように、「IPFSっていいよね!」「どんどん広めたいね!」「協力するね!」とストレージを提供してくれた方へのお駄賃(報酬)としてゲットすることができます。そして、そのように生み出されたFilecoinが暗号資産(暗号通貨)として世界中で使えるという流れです。そのままFILで使っても良いですし、USDTやBTCに交換して使うこともできます。
日本のファイルコインのマーケティング会社(ストレージ販売会社)はいくつかありますが、劣悪なマイナーや詐欺が潜んでいる業界でもあります。トートはその中から厳選した5社から購入してマイニングをどんどん進めています。
→いまは現物購入の方がお得です。